カナダでは州ごとに道路交通法が異なります。ここでは、ブリティッシュコロンビア州(BC州)のルールについて説明します。BC州では、赤信号でも完全停止と安全確認を行ったうえで、一定の条件を満たせば進行が認められます。これらはいずれもMotor Vehicle Act Section 129に基づくものです。
右折

赤信号であっても、「NO TURN ON RED(赤信号時右折禁止)」の標識が設置されていなければ右折が可能です。停止線や横断歩道の手前で必ず完全停止し、歩行者、自転車、対向車などすべてに進路を譲ったうえで、安全が確認できた場合のみ進みます。信号を無視したり、停止せずに進む「ローリングストップ」は違反です。
この右折を認める根拠は、Motor Vehicle Act Section 129(3)に明記されています。この項では、赤信号で停止後に安全が確保されている場合、右折が許可されると定められています。
一方通行への左折

赤信号でも、一方通行の道路へ左折することが可能です。条件は右折と同様に、完全停止と安全確認です。左折先が自車の進行方向と同じ一方通行であること、左折禁止標識がないことが前提です。
この規定は、Motor Vehicle Act Section 129(4)(b)に基づいており、交差点で赤信号に直面している場合でも、左折先の道路が一方通行であるなら左折できると定められています。
さらにBC州では、2車線以上の複車線交差点からでも左折が可能とされています。これはMotor Vehicle Act Section 129(4)(b)で「交差点で赤信号に直面している場合でも、一方通行への左折を許可する」と規定されており、条文内で車線数に関する制限が一切設けられていないためです。したがって、左端レーンにいる場合は複数レーンの交差点でも左折が認められます。左折後は左側の最も近いレーンに進入するのが原則です。
この点については、Wikipediaや様々なWebサイトなどでも同様の説明が確認されています。
直進

通常の交差点では、赤信号時に直進することはできません。ただし、交差点ではない場所に設置された歩行者用信号(道路途中にある信号)で停止した場合、歩行者が渡り終えて安全が確認できれば、赤信号のままでも直進が認められます。これはMotor Vehicle Act Section 129(5)に基づくもので、工事信号や鉄道信号などは対象外です。
このように、BC州では右折(Section 129(3))、一方通行への左折(Section 129(4)(b))、歩行者信号での直進(Section 129(5))の3つが、赤信号でも条件付きで許可されています。
参考サイト
BC Laws Motor Vehicle Act Section 129
https://www.bclaws.gov.bc.ca/civix/document/id/complete/statreg/96318_05#section129
ICBC Learn to Drive Smart(Turning at intersections)
https://www.icbc.com/driver-licensing/getting-licensed/driver-training/learn-to-drive-smart